研究分野変更からの大学院留学

英語嫌いが分野変更して大学院に留学しました

アメリカでの引っ越し・生活準備

今回は初めて、生活のことについて書こうと思います。

入学して最初の半年ほどは、シェアハウスで暮らしていました。
初めての海外での生活だったので、日本のウェブサイトで「シアトル シェア 掲示板」とかで検索すると出てきたサイトでよさそうなところを選びました。家賃はネット光熱費込みで850ドルです!デポジットも850ドルでした。

最初は一人より家に誰かがいた方が分からないことも聞けて安心だと思ったこと、スーパーは大学の帰りに寄れると思ったこと、日中は大学で過ごすつもりだったので家は眠れれば良いと考えていたことから、アパートではなくシェアハウスに決めました。

しかし実際には、コロナの影響で授業やミーティングもオンラインになりほとんど家にこもりきりの生活になってしまいました。
家にこもるとなると、部屋の日当たりが悪い、部屋の照明が暗い、スーパーが遠い、キッチンが共用で少し気を遣う、など、困ったことが出てきてしまいました。

コロナ禍で気持ちよく暮らすためには部屋の快適さが重要だということに気づかされたので、入学から約半年後に引っ越しを決意しました!

シェアハウスから、アパートへの引っ越しです。

シェアハウスの契約上、引っ越しをする○ヶ月前までに申し出るという取り決めがありましたが、それ以外は礼金がかかることもなく、しっかりと清掃して退去したことでデポジット850ドルも全額戻ってきました。

もちろん家によって違いはあると思うのですが敷金礼金などの負担が少なくて、日本よりも引っ越しの敷居が低いような気がしました。

部屋探しについて

まずはApartments.comでよさそうなところの目星をつけました。重要視したのは、近くにレストランやスーパーが多いかどうかです。
アメリカのアパートは独自のホームページを持っていることが多く、Apartments.comで目星をつけた後はホームページを見ながら、オンライン上で契約まで行いました。

ホームページには部屋の間取りや写真が載っていたり、ストリートビューのようなビデオで擬似的に内見ができたりしました。見たい部屋の情報が載っていない時はメールで問い合わせたりもしました。

問い合わせをしてもなかなか返事が来なかったり、なぜか他人の契約書が送られてきたり(!)、必要な書類の手配が間に合わず入居予定日に入居できなかったり(!!)しましたが、何とかなりました。笑

きっとやってくれるはずだとは考えず、こちらから進んで質問や確認をすることが大事な気がします…!

MFTEユニットについて

私が住んでいるシアトルには低所得者向けのMFTEプログラムというものがあり、アパートメントの全ユニットのうち数ユニットがMFTEユニットに割り当てられることがあります。

このMFTEユニットは通常のユニットに比べて500ドルくらい、もしかすると半額くらい安く借りられるのでおすすめです!契約時に直近3か月分の給与明細を出す必要がありましたが、大学のRA/TAであれば確実に借りられると思います。ただし、競争率は高いです。

私は一度バーチャルの内見をお願いしようとメールでやり取りしている間にMFTEユニットを他人に契約されてしまいました。

その経験を踏まえて(?)、次の機会ではホームページで大体の様子をつかんだらすぐにApplyしました。Applyすると部屋を仮押さえしてもらえ、そのアパートに入居する資格があるかを調べてくれます。

Applyには50ドルほどかかりますが、これをしてしまえば他人に部屋をとられる心配はありません!。

また、この時点ではデポジットも払っていないし契約もしていないはずなので、そのあとに内見をして、いやなら契約しなければOKです。50ドルは無駄になりますが、どうしてもその部屋が欲しいなら先にapplyしてしまいましょう!!

また、ほとんどのアパートで給料に関する条件(月3000ドル以上など)が定められていることがありますが、足りていなくても銀行口座にある一定以上の金額が入っていれば問題ないようです。

引っ越しについて

シェアハウスの部屋にはベッドや机、椅子などが備え付けてあったので、自分の家具は買い足した机くらいでした。

あとは小さな家電や服、日用品などだけだったので、新しい部屋まで自力で荷物を運ぶことにしました。

バスと電車で荷物を持って往復することも考えましたが、Uber(タクシー)を利用した方が楽かつ経済的だと気づき、そうしました。

引っ越し当日、道端にすべての荷物を運んでからUberを呼び、Uberが来たらこれらの荷物を載せて良いかと確認して急いで荷物を載せ、自分達も乗って移動しました。
運転手さんがとても良い人で、大荷物でも問題ないと言ってくれて助かりました。
荷物を下ろす時には手伝ってくれて、帰り際には手を振ってくれました!

マットレスを買う

初日にどうしても買いたかったのがマットレスです。

どこで買えば良いのか分からず、Twitterで質問してみたところ、mattress firmというマットレス屋さんをおすすめしてもらったので行ってみることにしました。

予算的も限られていたので、オンラインショップで目星を付け、これありますか?と店頭に聞きに行ってみました。

すると、そのマットレスは無いけど同価格帯のこのマットレスなら別の店舗にあるよ!それなら今日持って帰れるよ!と、そのマットレスを出して寝かせてくれました。笑

そのマットレスには高い値札(予算の倍以上の値段)がついていたのですが、予算内の値段になるから大丈夫!とのことだったので、何度も聞き直して確認してから(笑)、言われた通り別の店舗に向かいました。

本当にマットレスがありました。ロール状に巻かれて箱に入った状態で置いてありました。
Uberに載せて帰るといいよ!とアドバイスしてもらったので、お店の前にUberを呼び、後部座席の膝の上にマットレスを載せ家まで帰りました。

この運転手さんも良い人だったなぁ。

こうして無事に初日からマットレスで寝ることができました。

その他の家具や日用品の買い物

どこで何を買ったか書いておこうと思います。

アメリカのスーパーはすごいです。何でもあってイオンみたいな感じです。
Amazonもやっぱり便利。IKEAダイソーはお得で見てるだけでも楽しい。笑

○スーパーで買ったもの
シャワーカーテン
シャワーカーテンの金具
バスマット(バスタオルで代用)
お皿の水切りかご
掛け布団(アメリカではcomforterと言うそうです)
シーツセット
フライパン(大・小)

オーブン皿
クイックルワイパーみたいなやつ(swiffertという商品)

Amazonで買ったもの
キッチンツールセット(おたまとかフライ返しとか)
包丁
椅子

ランプ(sky floorlampという商品の明るさが気に入り2個買いました)
バスタブの髪の毛キャッチャー
トイレブラシ
体温計
髪の毛を切るハサミセット

IKEAで買ったもの
ベッドフレーム(組み立てに2~3時間かかったけど木製でかわいくて気に入っています)
クローゼットの吊るす収納
お風呂の壁に付ける吸盤のラック
グラス
洗濯物かご
花瓶(ファーマーズマーケットに売っているお花を飾りたかったので笑)
ミニほうきちりとりセット

ダイソーで買ったもの
お茶碗
お皿
菜箸
スポンジ
まな板
タッパー(レンジもオーブンもできるガラス製のものが便利でした。)
ボウル(レンジ可なので、ボウルとレンジでお米を炊いています。笑)
コロコロ(アメリカでは結構高いです。IKEAには安いのがありました)
小物収納のかご

こんな感じですかね~。
引っ越し代やマットレス代も含めて全部で1000ドル以内で揃えられました!
何をどこで買えば良いのか、それぞれいくらくらいするのか、色々分からず不安だったのですが、実際に探し始めるとほとんど困ること無く順調に買い揃えることができて、楽しかったです。

あ、上に書いていませんが、Amazonで売っていた海外製のライスクッカーは買って割とすぐに壊れました(笑)
でも迅速に返金してもらえたので全然問題なしです!
それをきっかけにレンジ炊飯がマスターできました。レンジ炊飯でなんとかやっていけそうです。

新しい部屋の暮らしやアパートの周りの環境にも慣れてきて、引っ越して良かったと思っています。

【大学院留学】出願先のラボインタビューで聞かれたこと

インタビューで聞かれたことについて質問を受けたのですが、この記事でもまとめておきます。

UFの先生と大学院出願前に一度スカイプインタビューをして、そのあとUFに正式に出願しました。この先生は第二志望の先生だったのですが、全落ちは避けたかったので第二志望の先生にも念のため連絡しました。

以下がインタビューで聞かれた内容です。
修士の研究について
・その研究であなたが貢献したのはどの部分か
・どうやって実験したか
・理論モデルをどうやって選んだのか
・何をもってそのモデルが適切だと言えるのか
・(研究で用いていた)微分方程式境界条件をどのように設定したのか
・(志望している先生の)論文は読んだか
・今までで面白かった論文は?
修士の研究で一番困難だった部分は何?
・これまで取ってきた授業は何?
奨学金の具体的な金額など
といった感じで、かなり詳細な質問もありました。もちろん全てを準備できていたわけではないです。また、返答は全て片言の英語でしたが、けっこう辛抱強く聞いてくださったので助かりました。大体1時間くらい話していたと思います。

最終的にこの先生を第一志望として出願しなかったので、このインタビューの意味はなくなってしまいましたが!笑

他の方のブログでも、
・自分の研究で困難だったところやそれをどのように解決したか
・今までの論文で面白かったのは何か、どのようにそれが面白いのか
は聞かれていたようなので、この質問は準備した方がいいと思います!

 

【大学院留学】全落ちを避けるためにしたこと

 

私は、分野をソフトマター・光学から神経科学へと変更してアメリカ大学院に2度出願しました。結果は

1回目の出願で大学院全落ち(修士2年目)

大学院1つに合格(修士修了後)

でした。

この記事では1年目の出願時と2年目の出願時の違いを整理したいと思います。全部主観で書いてます。

大学院留学の経緯などはこっちに書いてます。

resatomo.hatenablog.com

 

成績など

以前の記事にも書きましたがもう一度書きます。

・留学経験・コネなし

・日本の大学、大学院での専攻 電気電子情報工学

・日本の大学、大学院時代の研究分野 ソフトマター・光学

・米国での志望分野 神経科学・神経工学

・2017年 工学学士、2019年 工学修士取得

・GPA学部3.4/4.0 修士3.5/4.0

・学部時代成績優秀者として表彰

 

1年目の受験時

TOEFL 72

GRE Varval 136, Quantitative 163, Writing 3,0

奨学金なし

・論文1本(共著1本、ソフトマター関連)

・教授とのコンタクト メールではあり

これで全落ちでした。

 

2年目の受験時

TOEFL 84

GRE Varval 146, Quantitative 164, Writing 3.0

・所属研究室で研究員としてソフトマター研究に従事

奨学金採択

・論文3本(筆頭1本、共著2本、どちらもソフトマター関連)

・行きたい1つの研究室に現地訪問、他の研究室にはメールでコンタクト

これで現地訪問した大学院(だけ)に合格することができ、他の大学院2校からはインタビューのオファーを頂けました。第一志望からオファーを頂けた時点でインタビューは辞退しました。

 

合格に繋がったと感じたこと

筆頭著者の論文があったこと

2回目の出願時には筆頭著者の論文が一つありました。雑誌は物理学の分野であれば誰でも知っているような雑誌で、ここに筆頭著者として受理された論文があったことは。研究分野が異なるとはいっても高評価だったと思います。Statement of Purposeを書くときは、雑誌のインパクトファクターを載せて研究能力をアピールしました。

実は一回目の査読結果はrejectに近く、論文の投稿雑誌のレベルを下げようという話もあったのですが、revisionを重ねた結果acceptという結果になりました。acceptされるまで長い時間がかかってしまいましたが、雑誌のレベルを下げていたら2回目の出願も全落ちしていたかもしれないとも思います。

 

奨学金に採択されたこと

2回目の出願時には大学院留学用の奨学金を得ることができました。

Statement of Purposeでは、専門ではない分野で研究計画を作成して奨学金をもらえるようになったことを書き、研究能力をアピールしました。

 

準備に十分な時間を確保できたこと

私はTOEFLが50~60点くらいから出願準備を始めて、これが受験年の4月くらいでした。1回目の出願のときはTOEFLの対策にずっと追われていて、ろくに他の準備をすることができませんでした。受験年の8月9月から出願準備を始めた方もいるようですが、それで受かる人は英語力がその時点である程度ある方だと思います。

私は1回目の出願に失敗した後、まるまる一年準備する期間がありました。TOEFLの点数はまだ上げなければならない状況でしたが、当時研究員として週2程度しか働いていなかったので、研究や奨学金の申請、GRETOEFLの勉強を並行して行っていくことができました。しかし、一般的な大学生、大学院生にとって、上記4つを並行してやっていくことは本当にきついと思います。

 

現地訪問したこと

一番合格に影響を与えたことだと思っています。研究分野を変更するよく分からない、英語がしゃべれるかも分からない、会ったこともない外国人に合格を出すのって、抵抗があると思います。よっぽどすごい成果があるのならともかく。

また、研究について話すときもメールでやりとりするより実際に会って話したほうが伝わりやすいし、アピールしやすいです。Statement of Purposeでアピールする方法もありますが、500 words程度しか書けない制限がある場合があります。また、現地訪問することで先方の先生に自分を確実に認識してもらえるはずです。

私はTOEFLのスコアがminimumに届いていなかったのですが、足切りされませんでした。また、合格をいただけたのは現地訪問した大学院だけです。現地訪問の効果は絶大だと思います。

ただし、実際に会った結果、マイナスのイメージを抱かれてしまうこともあるかもしれないので、研究室訪問するときは入念に準備していくことが必要かと思います。

 

さいごに

当たり前のことになってしまいますが、分野の変更に関わらず、「十分な準備時間を確保し、筆頭で論文を書き、奨学金の申請し、現地訪問して話すこと」が大切なことだと思います。

もし、準備するのが遅く時間が足りなさそうだと感じる方は、日本で修士課程や博士課程の進学を考えて1年出願を遅らせるのも手だと思います。

 

【大学院留学】奨学金二次審査(語学試験、面接)

はじめに

私が調べたときには語学試験や面接について書かれたブログが皆無だったので、大学院留学用の奨学金の書類審査に通過した後の二次審査についてシェアしたいと思います。特に守秘義務などはなかったので大丈夫なはずです。。。ダメな場合はご連絡ください。

私は村田、中島、船井の書類審査を通過しました。2019年二次審査は

 村田海外留学奨学会  語学試験

 中島記念国際交流財団 面接

 船井情報科学振興財団 面接

となっていました。それぞれの様子についてお伝えしたいと思います。また以下の内容は2019年のときの様子なので、その後は変わってしまう可能性もあります。鵜呑みにはしないでください。

出願書類をどのように作成したかについては以下の記事でまとめています。

 

resatomo.hatenablog.com

 

 

二次語学試験について

村田海外留学奨学会 語学試験

10月下旬に京都で行われました。朝から夕方くらいまでの試験でした。

・リスニング(TOEICのような感じ)

・A4一枚くらいの英語の文章を読んで200字くらいに要約(文字数はたぶん)

・グループで英語インタビュー

が主な内容でした。遠方から来られる方は早めに終わるようにセッティングされていました。

 

〇内容や感想

リスニングは比較的簡単なのではと思います。ただし、私はTOEFLのリスニングが21なので、あまり分からなかったです笑。

要約は入試問題のような感じでした。これは、個人的に良くできたと思います。

英語インタビューは3人グループを組まされて、同時に行いました。

部屋にいるのは面接官と書記の方と受験者3人です。3人グループですが、3人でグループディスカッションなどをするわけではなく、一人ずつ面接官に英語で質問されて答えるという形式です。質問の度に3人が回答する順序が変わります。

試験内容は、記憶が確かであれば

・雑談(出身地について、外国に行ったことがあるか、外国で何したか)

・タイムスリップできるとしたら何がしたいか

・面接官を相手にしたロールプレイ

の3つでした。

ロールプレイでは3人それぞれに違うお題がいきなり与えられます。私はコピー機の使い方を教えてほしいと言われました。残り二人は、駅での券売機の買い方とATMでのお金の引き出し方でした。私は全然できませんでしたが、面接官の話すスピードも比較的遅めで、TOEFLでしっかりスピーキング対策をされている方であれば十分に答えられるのではないでしょうか?

おいしいお昼ご飯もでますし、受験者の出身を記した名簿も配られ、受験者どうしで交流もできるので、楽しいお昼時間を過ごすことが出来ました。

ただ、この二次試験にはポスドクとして留学される予定の方や学校の先生も受験されます。また、海外大学院に既に在籍されている方や帰国子女の方もおられました。おそらく語学試験の上位10人くらいが通過するでしょうから、あくまで個人的な感想ですがTOEFLで100くらいないと通過するのが難しいのではないかと感じました。

 

二次面接について

中島記念国際交流財団 二次面接

中島の面接は10月の下旬に東京で行われました。時間は10~15分程度です。私は生命科学分野で応募したので、以下の内容は情報や経営分野で応募した人にはあまり参考にならないかもしれません。使用言語は日本語で、こちら1人に対して面接官はたしか4人でした。面接官は生命科学分野の専門家です。

聞かれた内容は大体以下の通りです。

・研究員として働いているということか?

・これから行いたい研究について

・なぜ分野を変更しようと思ったのか

・私の研究計画に関わる科学者の名前を出され、知っているか?と問われた

・これまでどのような研究をしてきたか?

・それまでのソフトマターの研究を神経科学に応用しようとは思わなかったのか

・研究計画のある内容について聞かれ、これはどういうことか?

面接は終始穏やかな雰囲気でした。

面接官は生命科学の専門家なので、他の志願者はけっこう専門的な質問も受けていたようです。

 

船井情報科学振興財団 二次面接

船井の面接は11月上旬に東京で行われました。時間は10分程度でした。使用言語は日本語で、こちら1人に対して面接官は5人でした。実質に質問していたのは4人です。

聞かれた内容は大体以下の通りです。

・研究員として働いているということはお金をもらっているということか?

・私が在籍していた高校について

・なぜ神経科学を学ぶために日本の大学院でまず学ばなかったのか?

 (なぜ神経科学をやりたいのにまだソフトマターを研究しているのか)

・私の研究したい内容に関して、本当に上手くいくの?

・大学院にアピールできるような、神経科学の実験手法は身につけているのか?

・他に受けている奨学金はあるか?結果は来たか?

面接は終始穏やかな雰囲気でした。

他の志願者の人に聞いたところ、どうやって大学院に自分をアピールするのか?と聞かれた人もいたようです。

 

面接の感想

どちらの財団でも、面接の待ち時間では同じような大学院留学を目指す志願者と知りあえるので、これまで孤軍奮闘してきた私にとってはとても良い機会でした。

面接で私が感じたことですが、中島ではこれからの研究内容など今後のことを多く聞かれたように感じました。熱意なども見ていたかも。ある意味、日本的な面接ともいえるかもしれません。

一方、船井ではこれまで合格のためにどんな準備をしてきたかに重きを置いているように感じました。また、その志願者がどう自分をアピールしていくか等、アメリカ大学院で行われるような形で志願者を選考しているのかなと感じました。

また、中島では出願分野(情報、生命、経営)の方が審査されるのに対して、船井では審査される方が既に決まっているので、分野が異なっている可能性があります。この点も意識しておくといいかもしれません。私は、船井の審査員の方から研究計画に関する深い質問はなかったです。

最後に、面接では聞かれた以外の余計なことは言わないのが吉です。特にマイナスに捉えられかねないことは嘘を言わないようにしながら、上手く避けた方がいいです。

【大学院留学】奨学金の申請書類準備

はじめに

大学院留学を目指す場合は、給付型の奨学金があった方が選考に有利に働きます。さらに、奨学金を持っている場合は博士課程に落ちたときの保険として修士課程にも出願できます。

また、奨学金出願の過程で提出する研究計画、留学する意味などを考える上で自分の中で思考が整理されますし、後々大学院出願時に書くことになるStatement of Purposeを書くときに役立ちます。

二次面接で聞かれたこと等はこちらの記事でまとめています。

 

resatomo.hatenablog.com

 

大学院留学用の奨学金を提供している財団

私が応募した財団と結果は以下の通りです。

村田海外留学奨学会 8月中旬締め切り → 書類通過

伊藤国際教育交流財団 8月下旬締め切り → 書類落ち

中島記念国際交流財団 8月下旬締め切り → 書類通過

船井情報科学振興財団 9月下旬締め切り → 書類通過

締め切りは2019年時点のものです。また2019年時点ではどの財団もTOEFL足切りはありませんでしたTOEFLがまだ志望校の点数に足りていない人も積極的に応募してみてください。また、他にも大学院留学用の奨学金を提供している財団もあるので調べてみてください。

※応募時点で日本の大学に所属していなければならない等の制約がある場合があります。もし私のように大学院留学に1回失敗していても、教授に頼み込むなどして大学や大学院に所属していた方がいいです。それぞれの財団のホームページで確認してみてください。

伊藤国際教育交流財団の出願書類は準備するのが大変です。私の応募時は英語で1500 words~2000 wordsの研究計画が必要でした。私は3500字くらいで日本語の研究計画を用意した後にそれを英訳して1500字くらいの英語にして、業者に添削してもらった後に提出しました。私は1週間くらいしか準備する時間がなかったのですが、ほとんど推敲ができませんでした。締め切り日の23時ごろに中央郵便局に行ったことを覚えています。もう少し時間に余裕を持って準備することをお勧めします。

研究計画を考えるのは大変でしたが、これを考えておけば他の財団の申請書類やStatement of Purposeに応用できるので、取り組む価値はあると思います。

参考までに私の出願時は

TOEFL 84点

・論文 筆頭1本 共著1本

でした。

 

大学院留学用奨学金の出願のために必要なもの

出願のためには主に以下のものが必要です。財団によっては他の書類が必要になるので要確認です。

・出願書類(履歴書、研究計画、留学する意味、留学後の計画等)

TOEFLスコア

・推薦書(1通~3通)

TOEFLスコアはETSから送られてくる正式な物が必要な場合か、インターネット上で見られるスコアで十分な場合があるかと思います。これも確認してみてください。

 

〇推薦書を準備する

推薦書は財団によって求められる部数が異なります。私は所属研究室の教授からまず一通いただき、推薦書が一通だけでいい財団にはこの推薦書を提出しました。

船井に出願する際には3通の推薦書が必要になります。研究のディスカッションをしていて私のことを良く知っている所属研究室の助教から一通、研究計画の添削をしていただいた別の研究室の助教から一通いただきました。

1人目と2人目の先生は大学院で学ぶことになる神経科学は専門外ですが、私のことを良く知っている先生なのでお願いしました。3人目の先生は私のことをあまり知りませんが、大学院留学の相談をしたり、研究計画書の添削をしたりしていただき、それらの経験をもとに、なんとか推薦書を書いていただきました。3通とも自分では書かずに先生方に書いていただきました。

 

〇申請書類を準備する

申請書類の準備には1か月以上の時間をかけたほうがいいと思います。私の場合7月10日に希望している研究室を訪問したかったため、6月下旬から2週間くらいでその研究室でやってみたいテーマを考えました。

渡航後はTOEFL対策をしていたので次に申請書類の準備を始めたのは、村田奨学金の締切(2019/8/16)の10日前くらいでした。その後1週間後に伊藤奨学金の締切(2019/8/23)でしたが、伊藤の申請書類が多すぎるand手書きであるので、やはり1か月以上前から準備を始めた方がいいと思います。早い人は6月くらいから準備を始めているのではないでしょうか?

研究計画を書くためには、その分野でどのような研究が行われているのか等について論文を読み込んでいく必要があると思いますが、異分野の人が専門分野の論文をいきなり読むのは難しいと思います。少なくとも私には無理でした。

これからは、私がどのように研究計画を作成したかについてシェアしたいと思います。

 

研究テーマを考える

〇日本語で一般の方向けに書かれた文書を読む

専門家が一般の方向けに書いた記事をまとめている雑誌があったので、それを購入して読み込み、その分野でどのようなことが行われてきたのか、今現状の問題点が何かなのかについて学びました。

また、大学の講義内容を一般読者向けに書き直している教科書チックな本も役立ちました。例えば、私の分野ではこんなやつです。

www.amazon.co.jp

この時点では、やはり日本語の方が学びやすいです。もちろん、英語に抵抗がない方は言語を日本語にしぼる必要はないと思いますが。

 

〇レビュー論文を読む

次に、その分野のレビュー論文を読みます。レビュー論文はその分野でどのような研究が行われてきて、どのように発展してきたか、それぞれの手法のメリットやデメリットについて等がまとめられている論文です。数多く引用されているレビュー論文は、多くの有益な情報をまとめている論文のはずなので、引用数の多いレビュー論文を読みます。

このレビュー論文には、その分野での代表的な研究がまとめられていたりするので、参考文献を探すことでその分野をこれまでけん引してきた研究室、研究者を探すことにも役立ちます。

 

〇一般的な論文を読む

次に、行きたい研究室が出している論文の中で自分の興味に沿うものをいくつかピックアップして読み込みました。読み込む上でその論文のどの点が新しく、どの点が素晴らしいところなのかを意識しながら読んだように思います。

 

〇自分が興味があるANDできそうなところを考える

最後に、自分が興味があって、アプローチできそうな研究テーマを考えます。インプットに時間を割くだけでは、研究テーマを考えられないと思います。

これまでの読んできた論文とにらめっこしながら、意図的に考える時間を作りました。1日では思いつかなかったので、十分な時間を取ったように思います。

研究テーマを考えるときは、大きな目標の中の小さな目標を作ることが大切だと思います。自分が大学院生活の中で完結できそうな小さな目標を研究テーマにするといいと思います。

私は、異分野出身であったことから、次の3つを意識して研究テーマを考えました。

・その研究室で確立されている研究手法があること

・仮説が立てやすいこと(実験結果が予測しやすいこと)

・まだ調べられていないこと

実験結果が予測しやすいということは、あまりインパクトのある研究成果にならないように思いますが、ストレスフルな大学院生が初めに取り組むテーマとしては丁度良いと思います。

研究計画が成果になったころには、知識も増えて、研究室での実験の仕方にも慣れてくるでしょうから、そのころにまた研究テーマを考えればいいのではないでしょうか?

 

研究計画を書く

論文のイントロダクションと研究方法だけを書くイメージで申請書を書き上げました

イントロダクション

・その技術は一体どんなものなのか

・今までにどのような研究が行われてきたのか

・これまでの問題点は何か

・問題点を改善するためにどのようなことが必要か?

・研究の目的

研究方法

・実験手順

・どのような実験結果が得られるのか

・実験結果をどのように解析するのか

これらを記述欄の許す限り、専門外の人でも分かるように丁寧に書きました。私の場合はモデルとなるような先行研究があったのでその論文を参考にしながら書きました。また、学振の申請書類の書き方なども検索して参考にしました。

私は入学したらすぐに実験を始められるようなイメージで書きました。ただ、かなり具体的に書いてしまったので大学別にStatement of Purposeを書くときに困りました。どの大学でも同じような実験ができるとは限らないので。

しかし、二次面接ではかなり詳細に研究計画を立てていることを面接官が認識され、評価していただけました。

 

フォーマットに関してですが、審査をしていただける方が読みやすいように

 村田:文字の大きさ11ポイント 行間1行

 中島、船井:文字の大きさ11ポイント 行間固定値18ポイント

で作成しました。文字の大きさ11ポイントと固定値18ポイントは個人的に見やすいと思っただけの値です。

 

船井の場合は、記述欄が足りない場合は追加してよいと注意書きがあったので付け加えましたが、他の財団では予め与えられた枠内で書ききりました。

また、図などを加えず文字だけで作成しました。図を加えて書類審査に合格した方を一人知っているので、図を使っても問題ないのだと思います。

 

最後に、全くとんちんかんな申請書類になっている可能性があるので、必ず専門と専門外の人それぞれにお願いして添削をしてもらってください

私は専門の先生1人と専門外の大学院時代の同期2人に申請書類をチェックしてもらいました。

専門の先生からはその分野の先生が申請書を読んだときに、専門家の視点からおかしい点を指摘してもらいました。

専門外の同期からは専門外の人が読んでも分かるような申請書類になっているかどうかをチェックしてもらいました。

私が検索したサイトの中で、学振の申請書類の審査をしている方が、先生の添削を受けていない申請書類は一発で分かり、そのような書類が受かるわけないと書いていました。

私は同じ学科に神経工学を研究している先生が外におられたときに声をかけて添削をお願いしました。その先生に推薦書も書いていただき、Statement of Purposeの添削もしていただきました。完全に分野が一致しているわけではありませんでしたが、快諾してくれたことに感謝しかありません。。。

【大学院留学】大学院の探し方と研究室の探し方

はじめに

私がソフトマター分野から神経科学分野に研究分野を変更し大学院留学をするのに困ったことが大学と研究室選びです。初めの頃は、どこの大学が神経科学に強いのか、神経科学の先生でだれが有名なのかなんて全く分からなかったので、どのような方法で探したのか、どのように研究計画を考えたのかについてシェアしたいと思います。

 

大学、研究室探し

一般的に大学、研究室を探す場合

・日本人の専門の先生に直接聞く

・US Newsのランキングから大学を調べ、その大学のHPから研究室を探す

・その分野の論文を探し、共著者を調べる

の方法がとられると思います。

 

〇日本人の専門の先生に直接聞く

一番手っ取り早い方法だと思います。この先生がアメリカの先生と知り合いである場合はアメリカの先生に事前にメールを送ってもらうと、自分がメールを送ったときに返信を返してもらえる可能性が高くなると思います。

 

〇US Newsのランキングから調べる

おそらく多くの日本人の方がこの方法を取っているのではないかと思います。US Newsは無料版では10位までしか見られないので、有料版にして20~30位くらいまで見られるようにした方がいいです。ランキング上位から大学HPに飛び、学部HPまで飛びましょう。私の場合は、BioengineeringやBiomedical Engineering、Electrical and Computer EngineeringのHPから研究室を探しました。結構時間がかかりました。

 

〇論文から調べる

上記の方法である程度調べたら、論文の共著者を調べていくと効率がいいです。上記の方法で調べた研究者をGoogle Scholarで検索して、比較的インパクトファクターが高い論文の共著者を検索してみるといいと思います。

また、レビュー論文を読むのもいいと思います。レビュー論文はその分野でどのような研究が行われてきたか、どのように発展してきたか、それぞれの手法のメリットやデメリットがまとめられていたりします。重要な先行研究が引用されていることもあるので、その分野で有名な研究者や研究室を探すのに役立ちました。

 

神経科学分野ではNeurotree

神経科学分野ではNeurotreeというサイトがあり、科学者の名前を打ち込むとその人の師匠と弟子が一目で確認できるので活用できます。他の分野でも同様のサイトがあるのでしょうか?そのようなサイトがある場合は活用してみるのが良いです。

 

Admissions RequirementsやAcceptance Rateの確認

大学、研究室探しをすると同時にAdmissions Requirementsの確認も並行して行うと時間を短縮できます。まず

・出願締め切り日

TOEFLのMinimum

GRE generalのMinimum、GRE subjectの受験の有無

・GPAのMinimum

は確認して大学ごとにリストアップしておくと後から出願校を選ぶときに便利です。他の出願書類に関しては、出願校を決めた後にまた調べればいいと思います。

これらの内容は全て学部のHPから確認できます。例えばUniversity of Washington Electrical and Computer EngineeringのHPの場合は、トップページでAcademicsのMaster's & Ph.D.を選択した後に、右欄のAdmission Requirementsのページに飛ぶことができます。University of Michigan Biomedical Engineeringの場合、トップページでAcademicsのGraduateを選択した後に、右欄のGraduate AdmissionsからRequirementsを確認することが出来ます。

また学部HPではなく、大学院HPからAcceptance rate(合格率)を確認できることもあります。University of Washington Graduate School Acceptance Rateなどと検索すればヒットします。出願校を決める際の参考にしてください。

UW: https://grad.uw.edu/about-the-graduate-school/statistics-and-reports/admissions-statistics/

UM: https://secure.rackham.umich.edu/academic_information/program_statistics/

【大学院留学】研究分野を変更して2回目の米国大学院出願

はじめに

初めまして。resatomoです。日本で大学、大学院を卒業後、米国大学院に出願した経験を共有するため、このブログを始めようと思います。私は一般的に米国大学院を受験する方と比べてかなり要領が悪い(相当なマイペース)と思います。例えば、大学受験に一度、そして米国大学院受験に一度、計2年間浪人生活をしました。さらに、大学院受験に一度失敗した後もTOEFLの90点を超すことができませんでした。。。

しかし、このような私でも今年米国大学院に合格することが出来ました。私が米国の大学院を目指す間に、「私なんかがアメリカの大学院なんか受かるわけないだろう」と何度も思いました。船井奨学金に採択された方の経歴や留学体験記を見ては自分には無理だなと落ち込んでいました笑。それでも、やはりアメリカの大学院に行きたいという気持ちを捨てきることはできず、結果的に2回出願することになりましたが、合格することができました。

米国大学院留学を目指すにあたって、高尚な理由がなくても全然いいと思います。アメリカで研究したい!学位をとりたい!面白そう!という気持ちがあれば、ぜひ大学院留学を1つの選択しとして持ってほしいです。留学する理由は出願に向けてどんどん後付けしていけばいいと思います。そして、このブログを見て、少しでも米国大学院にある意味気軽に?目指してくれる方が増えてくれると大変うれしく思います。

また、私は日本の大学・大学院ではソフトマター・光学を研究し、米国の出願時には神経科学・神経工学に分野を大きく変えました。分野を変更して院留学する方はまだまだ少ないのではないかと思います。最近では海外の大学院の受験体験記に関するブログもたくさんあります。

しかし、このブログでは分野を変更してからの大学院留学に対して私が行ってきた準備について、また、私自身が初心を思い返せるように当時の気持ちなども書いていきたいと思います。それゆえ、一般的な米国大学院出願の説明については他のブログや書籍に説明を譲り、このブログではテストスコアが低く、分野を変更するという風変わりな大学院留学について書きたいと思います。

実は2回目の出願でも私は落ちまくったのであまり成績をさらしたくはないですが、私はこの留学の準備で先生方や友人、家族などの多くの方々に迷惑をかけ、そして助けられました。その方々への感謝の気持ちも込めて、今後出願する方の力に少しでもなれればと思い、出願時の状況を書き残すつもりです。大学院留学中の様子もいつか書ければいいなと思います。

以下の記事も出願過程をまとめているので、確認してみてください。

大学院の探し方や研究室の探し方

奨学金の出願や研究計画の作成

奨学金の面接

全落ちを避けるために

 

 

受験時の所属、スコア、成績などについて

・日本の大学、大学院での専攻 電気電子情報工学

・日本の大学、大学院時代の研究分野 ソフトマター・光学

・米国での志望分野 神経科学・神経工学

・2017年 工学学士、2019年 工学修士取得

・2019年~2020年 所属していた研究室で研究員としてソフトマター研究を継続

・GPA学部3.4/4.0 修士3.5/4.0

・学部時代成績優秀者として表彰

・2回目の米国大学院出願のための海外留学奨学金取得

・2回目の米国大学院出願までに筆頭著者論文1本共著2本(ソフトマター分野)

・留学経験なし

 

〇1年目のTEST SCORE

TOEFL Reading 22, Listening 15, Speaking 15, Writing 20, TOTAL 72

GRE Verval 136, Quantitative 163, Writing 3.0 

〇2年目のTEST SCORE

TOEFL Reading 24, Listening 21, Speaking 17, Writing 22, TOTAL 84

    MyBestScore 87 (Reading 25, Listening 23) ※

GRE Verval 146, Quantitative 164, Writing 3.0

 

1年目に関しては、それは落ちるよねというスコアですね笑。正直記念受験でした。2年目も大学院留学をする方にとってはかなり低いスコアだと思います。これで合格できたのは、やはり2年目に奨学金をゲットできたことが一番大きかったと思います。

修士取得後は、所属していた研究室で雇用していただき、週2回ほどのペースでソフトマター・光学の研究を続けさせていただきました。残りの時間は英語の勉強に当てました。7月には論文がアクセプトされました。

まず、なぜ大学院留学をしようと思ったのか、なぜ神経科学・工学の研究にテーマを変えることにしました。この経緯についてまず書くことにします。テストや奨学金のことなどはまた後日書きます。

※2019年の途中からTOEFLを運営するETSはTOEFL各セクションの最高点をMyBestScoreとして提示してくれるようになりました。このMyBestScoreをTOEFLの点数として受け付けてくれる大学もあるため、もし大学のHPに明記されていない場合は早めに問い合わせることをお勧めします。MyBestScoreを認めるか否かでTOEFL対策の仕方が大きく変わると思います。

 

なぜ大学院留学を思い立ったか

〇大学院留学を知る

今思い返してみると、初めに大学院留学の選択肢があることを知ったのは、学部1年次に所属していたボランティアサークルの打ち上げのときでした、サークルOBかつ某大学の先生とお話しをする機会があり、そのとき「博士課程に進むことも将来の選択肢として考えている。」と言った私に対して、「どうせ博士課程に行くなら海外に行きなよ。」と先生にお勧めされたのが私が大学院留学について知るきっかけとなりました。

もともと、新しいことや変わったことが好きな私はすぐに「大学院留学って面白そう!」と思い、留学について調べ始め、2年生のころは大学院留学説明会にも参加しました。今思えば、あの打ち上げの場にいなかったら私は留学をしていなかったのかもしれません。

しかし、当時は研究について何も知らない学部生時代。研究って面白いのか、自分に研究者は向いている職業なのかなど全然分からず、いきなり大学院留学を将来の目標にして研究者としての人生を歩んでいくことには抵抗がありました。とは言うものの、実際に大学院に出願することになったときに、成績が悪いという理由だけで大学院留学を諦めないといけなくなるのは避けたいと思い、悪い成績を取ることは避けるように努力しました。なんとか、足切りを受けるような成績になることは避けることが出来ました。

 

〇大学での研究と介助士としての経験

学部4年次には、特に研究したいテーマもなかったため、指導体制が整っていて、学生が学術論文を積極的に投稿している研究室を選ぶことにしました。結果、私はソフトマターや光学に関する研究をすることになります。これが全然面白くありませんでした笑。自分にとって興味を持てない分野で、面白くないので研究も全く進みません。テーマがかなり基礎研究よりだったことも私の研究嫌いに拍車をかけたように思います。

卒論は本当に大変で、卒業時点ではこれから研究一筋でやっていこうという気持ちには到底なれませんでした。こうして、学部4年次で出願し大学院留学をする道は諦めることになりました。しかし、もともと1年ぽっちでは研究の面白みは分からないだろうと考えていたため、そのまま大学院に進みました。

大学院では少しずつ研究の要領を掴み始め、徐々に研究を面白いと思えるようになって来ました。分からないことに対してどのように実験するか、どのように実験結果を読み解くかを考えることは楽しかったです。最終的に上手く現象を説明できたときは非常にうれしかったことを覚えています。このあたり、おそらく修士の2年始めあたりで改めて海外の大学院進学を考えるようになりました。

しかし、このままソフトマターの分野で研究を続けることには迷いがありました。研究が基礎研究に寄り過ぎていて、自分が社会に貢献できているかどうかが実感しづらかったのが原因だと思います。

また多くの工学研究は世の中を便利にすることを目的としていると思いますが、今でさえ十分と言っていいほど便利なのに、これ以上世界を便利にする必要はあるのかという気持ちがありました。もっと生活に不自由を感じている方を幸せにできるような研究があるのであれば、そちらをした方が自分には向いているのではないかと考えるようになりました。(決して世の中を便利にする研究を否定しているわけではありません。あくまで私にとって)

また、私は大学1年次から週1くらいのペースで四肢麻痺の方の訪問介助に従事してきました。首から下を自由に動かすことができない方の介助を行ってきて、障がいのある方の生活の大変さ、そしてそれを介助する介助士の仕事のきつさの両方を知りました。

研究分野を変えようかと悩んでいた修士2年の春ごろ、介助士の仕事を5年間続けてきた自分にしかできない、気付けない研究があるのではないかと考えるようになり、研究分野を神経科学や神経工学の分野に変えて米国大学院を目指すことにしました。

 

出願・準備スケジュール

アメリカ大学院の出願のためには

TOEFLGREのMinimumスコア

・志望理由書(Statement of PurposeやPersonal Statement)

が必要で、合格可能性を上げるためには

・筆頭著者の論文

・外部奨学金

・高いGPA

が必要です。奨学金や論文、好成績がなくても、他にアピールポイントがあれば合格する可能性は十分にあると言われています。

私が調べた限り工学系ではTOEFLのスコアが80点でも数校は有名校に出せる可能性はあります。しかし、ほとんどの学校は90点を求めてくるので、90点以上を目指したほうが吉です。アイビーリーグなどの誰でも知っているような多くの学校は100点を求めてきたように思います。

GREのスコアにMinimumを求めてくる学校は少ないですが、ないこともありません。一般的にVerval 150、Quantitative170を目指し、TOTAL 320を目指す方が多いと思います。GREの提出を求めない学校もあります。

 

私の2回目の出願時の出願準備プロセスは以下のようになります。

  準備期間 メモ
TOEFL ~12月1日 12月1日最終受験。結局5月11日のスコアを提出 笑
GRE ~11月8日 受験日11月8日で10日くらい対策した
前年もこのくらいの時期に1週間くらい対策してい一度受験
研究 ずっと 基本的にはソフトマターの研究を続けた
7月に論文が受理された
奨学金書類作成・出願 8月上旬~9月下旬 神経科学・工学関連の論文、書籍を読み2~3週間くらい準備
奨学金面接 10月下旬~11月上旬  
志望理由書(SOP)作成 11月下旬から12月中旬 前年のSOPをもとに肉付けした
出願 12月1日~16日  
合格発表 2月~  

 

 

受験した大学院

受験した大学院(1回目) 学部 メールの返事 その他 合否 合否連絡日
University of Washington Bioengineering   × 2019/2/7
University of Pittsburgh Bioengineering ×   × 連絡なし
University of Florida Biomedical Engineering 修士課程オファー × 2019/3/22
University of Southern California Biomedical Engineering インタビュー(出願前)  × 2019/5/4

 

受験した大学院(2回目) 学部 メールの返事 その他 合否 合否連絡日
University of Michigan  Biomedical engineering ×   × 2020/4/14
University of Washington Electrical and Computer Engineering 2020年7月10日に研究室訪問 2020/2/5
University of Washington Bioengineering   × 2020/2/5
University of Pittsburgh Bioengineering   × 連絡なし
University of Florida Biomedical Engineering インタビュー辞退 × 2020/4/14
University of Southern California Electrical and Computer Engineering ×   × 2020/4/12
University of California San Diego Electrical and Computer Engineering ×      
University of California Santa Barbara Electrical and Computer Engineering インタビュー辞退    

 

こうして並べてみると合格できたのは本当に運がよかったと思います。2回目も散々ですが、奨学金の効果もあったのかインタビューの申し入れもいくつかありました。UM、Pitts、UWが第一志望群だったので、UWからの合格を頂けた時点でインタビューは辞退しました。また、Pittsでは2人の教授からメールの返信を頂けましたが、今年は大学院生を取る予定はないとのことで、合格は難しくなったと思います。

UCSDとUCSBの研究室は直前に見つけたため、ぎりぎりで出願しました。志望理由書(SOP)もグダグダになったように思いましたが、それでもUCSBの研究室は私に興味を持ってくれたため、全落ちしたくない方はぎりぎりになったとしても、できる限り多くの研究室に出願した方がいいと思います。

UFは滑り止めのつもりで受けました。奨学金取得後メールを送った時点でかなり食いつきは良かったのと1回目の出願でMasterコースに合格できていたので、UFは合格できそうだなと思っていました。落ちましたが笑。

 

実際に受験をして思ったこと

〇論文と奨学金があればテストスコアがMinimumに到達していなくても可能性あり

テストスコア、論文、奨学金の1つが欠けていても、どこかの大学院には合格できるかもしれません。事実、私はテストスコアが全然ダメでした。

出願においては、論文を書いていて研究の立案から論文執筆までの一連の流れを学んでいること、奨学金を取得していてたとえ新しい分野でも研究計画を立てる能力があることをアピールしました。

ちなみにUW ECEのMinimumは92で、私は84なのに合格できました。

 

〇若い先生は比較的コンタクトを取りやすい

Assistant Professorなどの若い先生は比較的メールを返信していただけます。分野を変更する場合は若い先生をメインにコンタクトを取るのがいいのではないかと思います。多くの若い先生は入試の選考過程に関わっていないと思いますが、その先生がAdmission committeeの先生に個人的に連絡を取ってく優遇してくれるかもしれません。

University of WashingtonのECEでは、出願時に研究したい分野の第一希望と第二希望を選び、まず、第一希望のFacultyによって審査され、第2ラウンドとして第二希望のFacultyに審査されます。これは大学のHPのFAQsページに明確に記述されています。後日私の指導教官となる予定の先生とお話ししたところ、私の出願書類を審査したと伺いました。

Assistant Professorなどの若い先生とコンタクトを取ることも無駄ではないと思います。ただし、大学や学部によってやはり事情は変わってくると思います。

 

〇興味のある研究室を訪問する

英語が苦手な人は会って話すことが本当に恐ろしいと思いますが、現地で会った方が聞き取りやすいし、話しやすいです。私の場合実際に訪問したのはUWだけでしたが、合格をもらえたのも4月23日時点でUWだけです。他の留学記に記されているように実際に会っていたことが選考に有利にはたらいた可能性は高いです。

英語力に難があることは重々承知していたので、パワーポイントで資料を作成してお話ししました。2人で座りながら、パソコンの画面を見ながらの発表でした。私が今まで取り組んできたソフトマターの研究を簡単に説明した後、その先生が関わってきた論文を自分なりに勉強したことについてもまとめて発表しました。最後にその研究室で取り組みたいことを話しました。その研究室の論文を発表したのは、異分野だけど本気でその研究室に興味があり、研究意欲があることのアピールです。また、私が取り組みたい研究内容については興味を示していただいたように思います。

実はこの部分が一番心配していたところでした。私にとって研究してみたいと思った内容が、その分野で行うに値することなのか、学術的に面白いことなのかが異分野の私にはあまり分かりませんでした。この研究室訪問で自分のやりたい研究がその分野でやるに値するものだと自覚することができ、その後奨学金の出願時に研究計画を執筆するときに自信を持って書くことができました。

ちなみに、研究室訪問時の英語力はListening21、Speaking17で双方向のコミュニケーションは思うようにいきません。私のように英語力が低くても、十分に準備した上でがむしゃらに突っ込んでみるのもありだと思います。

 

〇大学ごとに志望理由書を変えるのは大変

分野を変更する場合、研究計画の応用を利かせることが難しいです。私は第一志望のUWでできるような研究計画を作り込み、奨学金出願時に提出しました。

しかし、全く同じ研究を行っている研究室なんてありません。そのため、他の大学の志望理由書を書くときに、その大学に合わせて研究計画を変えるのが大変でした。無理やりUW用に準備した研究計画を他の大学に書き換えましたが、おそらくプロが読んだら、容易にその稚拙さが分かったのだろうと思います。

奨学金を取ったからと安心せずに論文などでその分野のトレンド等の情報を収集し続けて、他の大学での研究計画に深みを持たせられるようにすべきでした。

 

〇出来る限り自分のバックグラウンドに近い専攻で出願する

2回目の出願まで、私がしたい研究は主にBioengineeringやBiomedical Engineeringに入っていると思っていました。しかし、詳しく調べてみるとElectrical and Computer Engineeringにも多くの研究室があると分かり、2回目の出願ではECEも多めに出願しました。

私の日本での研究分野はソフトマターでしたが、専攻は電気電子情報工学でした。バックグラウンドを考慮すると私の場合はECEに出願した方が評価してもらいやすかっただろうなと思います。研究室によっては多くの部門からの出願を受け付けていることがあります。

例えば、私が行く予定の研究室はBioengineeirng、Electrical and Computer Engineering、Neuroscienceから入ることができます。3つとも出願できるのであれば、3つとも出願すべきです。

もしどれか1つだけにしか出願できないのであれば、自分のバックグラウンドに一番近いところから出願すべきと思います。

 

〇Masterコースにも出願する

基本的にPh.Dコースの倍率は高いので、Masterコースにも出願するといいと思います。私もUW、UCSD、UFのMasterに出願しています。

ただし、Masterコースの多くは学費が自費となります。州立の学校で学費は300万程度かかり、生活費もあわせると500万ほどになってしまいます。親に出してもらえるか、貯金があるか、奨学金を持っている場合は出願したらいいと思います。

Ph.Dコース用の奨学金でもPh.Dコースに後々進むことを条件にMasterコースへの出願を認める場合もあるので確認してください。

また、実際の出願時においては、Ph.Dコースに出願すると自動的にMasterコースも審査される場合と、別々に応募しなければならないときがあるので確認してください。

 

〇日本の大学院でまず経験を積むORその分野のインターンシップ等を探す

やはり日本で学んで論文を書いてから出願した方が、教授のコネが使えるかもしれませんし、心労も少なくすみます。また、留学してからもその分野の基本的な知識を知っているので楽なのではないかと思います。もしまだ日本の大学院受験のために勉強をする時間があり金銭的な余裕があるなら受験をお勧めします。

また、行きたい分野でリサーチインターンシップや技術補佐員などのアルバイトに応募するのも手かもしれません。海外大学ではリサーチインターンできることもあるようです。また、OISTでもリサーチインターンシップができます。ただし、応募期間が決まっていたりするので注意が必要です。

技術補佐員などのアルバイトは大学や理研が結構募集しています。私は少しでも実験技術を身につけようと、理研の技術補佐員に応募しようとしましたが、最低1年は働いてほしいと言われ断られました。