研究分野変更からの大学院留学

英語嫌いが分野変更して大学院に留学しました

【大学院留学】奨学金の申請書類準備

はじめに

大学院留学を目指す場合は、給付型の奨学金があった方が選考に有利に働きます。さらに、奨学金を持っている場合は博士課程に落ちたときの保険として修士課程にも出願できます。

また、奨学金出願の過程で提出する研究計画、留学する意味などを考える上で自分の中で思考が整理されますし、後々大学院出願時に書くことになるStatement of Purposeを書くときに役立ちます。

二次面接で聞かれたこと等はこちらの記事でまとめています。

 

resatomo.hatenablog.com

 

大学院留学用の奨学金を提供している財団

私が応募した財団と結果は以下の通りです。

村田海外留学奨学会 8月中旬締め切り → 書類通過

伊藤国際教育交流財団 8月下旬締め切り → 書類落ち

中島記念国際交流財団 8月下旬締め切り → 書類通過

船井情報科学振興財団 9月下旬締め切り → 書類通過

締め切りは2019年時点のものです。また2019年時点ではどの財団もTOEFL足切りはありませんでしたTOEFLがまだ志望校の点数に足りていない人も積極的に応募してみてください。また、他にも大学院留学用の奨学金を提供している財団もあるので調べてみてください。

※応募時点で日本の大学に所属していなければならない等の制約がある場合があります。もし私のように大学院留学に1回失敗していても、教授に頼み込むなどして大学や大学院に所属していた方がいいです。それぞれの財団のホームページで確認してみてください。

伊藤国際教育交流財団の出願書類は準備するのが大変です。私の応募時は英語で1500 words~2000 wordsの研究計画が必要でした。私は3500字くらいで日本語の研究計画を用意した後にそれを英訳して1500字くらいの英語にして、業者に添削してもらった後に提出しました。私は1週間くらいしか準備する時間がなかったのですが、ほとんど推敲ができませんでした。締め切り日の23時ごろに中央郵便局に行ったことを覚えています。もう少し時間に余裕を持って準備することをお勧めします。

研究計画を考えるのは大変でしたが、これを考えておけば他の財団の申請書類やStatement of Purposeに応用できるので、取り組む価値はあると思います。

参考までに私の出願時は

TOEFL 84点

・論文 筆頭1本 共著1本

でした。

 

大学院留学用奨学金の出願のために必要なもの

出願のためには主に以下のものが必要です。財団によっては他の書類が必要になるので要確認です。

・出願書類(履歴書、研究計画、留学する意味、留学後の計画等)

TOEFLスコア

・推薦書(1通~3通)

TOEFLスコアはETSから送られてくる正式な物が必要な場合か、インターネット上で見られるスコアで十分な場合があるかと思います。これも確認してみてください。

 

〇推薦書を準備する

推薦書は財団によって求められる部数が異なります。私は所属研究室の教授からまず一通いただき、推薦書が一通だけでいい財団にはこの推薦書を提出しました。

船井に出願する際には3通の推薦書が必要になります。研究のディスカッションをしていて私のことを良く知っている所属研究室の助教から一通、研究計画の添削をしていただいた別の研究室の助教から一通いただきました。

1人目と2人目の先生は大学院で学ぶことになる神経科学は専門外ですが、私のことを良く知っている先生なのでお願いしました。3人目の先生は私のことをあまり知りませんが、大学院留学の相談をしたり、研究計画書の添削をしたりしていただき、それらの経験をもとに、なんとか推薦書を書いていただきました。3通とも自分では書かずに先生方に書いていただきました。

 

〇申請書類を準備する

申請書類の準備には1か月以上の時間をかけたほうがいいと思います。私の場合7月10日に希望している研究室を訪問したかったため、6月下旬から2週間くらいでその研究室でやってみたいテーマを考えました。

渡航後はTOEFL対策をしていたので次に申請書類の準備を始めたのは、村田奨学金の締切(2019/8/16)の10日前くらいでした。その後1週間後に伊藤奨学金の締切(2019/8/23)でしたが、伊藤の申請書類が多すぎるand手書きであるので、やはり1か月以上前から準備を始めた方がいいと思います。早い人は6月くらいから準備を始めているのではないでしょうか?

研究計画を書くためには、その分野でどのような研究が行われているのか等について論文を読み込んでいく必要があると思いますが、異分野の人が専門分野の論文をいきなり読むのは難しいと思います。少なくとも私には無理でした。

これからは、私がどのように研究計画を作成したかについてシェアしたいと思います。

 

研究テーマを考える

〇日本語で一般の方向けに書かれた文書を読む

専門家が一般の方向けに書いた記事をまとめている雑誌があったので、それを購入して読み込み、その分野でどのようなことが行われてきたのか、今現状の問題点が何かなのかについて学びました。

また、大学の講義内容を一般読者向けに書き直している教科書チックな本も役立ちました。例えば、私の分野ではこんなやつです。

www.amazon.co.jp

この時点では、やはり日本語の方が学びやすいです。もちろん、英語に抵抗がない方は言語を日本語にしぼる必要はないと思いますが。

 

〇レビュー論文を読む

次に、その分野のレビュー論文を読みます。レビュー論文はその分野でどのような研究が行われてきて、どのように発展してきたか、それぞれの手法のメリットやデメリットについて等がまとめられている論文です。数多く引用されているレビュー論文は、多くの有益な情報をまとめている論文のはずなので、引用数の多いレビュー論文を読みます。

このレビュー論文には、その分野での代表的な研究がまとめられていたりするので、参考文献を探すことでその分野をこれまでけん引してきた研究室、研究者を探すことにも役立ちます。

 

〇一般的な論文を読む

次に、行きたい研究室が出している論文の中で自分の興味に沿うものをいくつかピックアップして読み込みました。読み込む上でその論文のどの点が新しく、どの点が素晴らしいところなのかを意識しながら読んだように思います。

 

〇自分が興味があるANDできそうなところを考える

最後に、自分が興味があって、アプローチできそうな研究テーマを考えます。インプットに時間を割くだけでは、研究テーマを考えられないと思います。

これまでの読んできた論文とにらめっこしながら、意図的に考える時間を作りました。1日では思いつかなかったので、十分な時間を取ったように思います。

研究テーマを考えるときは、大きな目標の中の小さな目標を作ることが大切だと思います。自分が大学院生活の中で完結できそうな小さな目標を研究テーマにするといいと思います。

私は、異分野出身であったことから、次の3つを意識して研究テーマを考えました。

・その研究室で確立されている研究手法があること

・仮説が立てやすいこと(実験結果が予測しやすいこと)

・まだ調べられていないこと

実験結果が予測しやすいということは、あまりインパクトのある研究成果にならないように思いますが、ストレスフルな大学院生が初めに取り組むテーマとしては丁度良いと思います。

研究計画が成果になったころには、知識も増えて、研究室での実験の仕方にも慣れてくるでしょうから、そのころにまた研究テーマを考えればいいのではないでしょうか?

 

研究計画を書く

論文のイントロダクションと研究方法だけを書くイメージで申請書を書き上げました

イントロダクション

・その技術は一体どんなものなのか

・今までにどのような研究が行われてきたのか

・これまでの問題点は何か

・問題点を改善するためにどのようなことが必要か?

・研究の目的

研究方法

・実験手順

・どのような実験結果が得られるのか

・実験結果をどのように解析するのか

これらを記述欄の許す限り、専門外の人でも分かるように丁寧に書きました。私の場合はモデルとなるような先行研究があったのでその論文を参考にしながら書きました。また、学振の申請書類の書き方なども検索して参考にしました。

私は入学したらすぐに実験を始められるようなイメージで書きました。ただ、かなり具体的に書いてしまったので大学別にStatement of Purposeを書くときに困りました。どの大学でも同じような実験ができるとは限らないので。

しかし、二次面接ではかなり詳細に研究計画を立てていることを面接官が認識され、評価していただけました。

 

フォーマットに関してですが、審査をしていただける方が読みやすいように

 村田:文字の大きさ11ポイント 行間1行

 中島、船井:文字の大きさ11ポイント 行間固定値18ポイント

で作成しました。文字の大きさ11ポイントと固定値18ポイントは個人的に見やすいと思っただけの値です。

 

船井の場合は、記述欄が足りない場合は追加してよいと注意書きがあったので付け加えましたが、他の財団では予め与えられた枠内で書ききりました。

また、図などを加えず文字だけで作成しました。図を加えて書類審査に合格した方を一人知っているので、図を使っても問題ないのだと思います。

 

最後に、全くとんちんかんな申請書類になっている可能性があるので、必ず専門と専門外の人それぞれにお願いして添削をしてもらってください

私は専門の先生1人と専門外の大学院時代の同期2人に申請書類をチェックしてもらいました。

専門の先生からはその分野の先生が申請書を読んだときに、専門家の視点からおかしい点を指摘してもらいました。

専門外の同期からは専門外の人が読んでも分かるような申請書類になっているかどうかをチェックしてもらいました。

私が検索したサイトの中で、学振の申請書類の審査をしている方が、先生の添削を受けていない申請書類は一発で分かり、そのような書類が受かるわけないと書いていました。

私は同じ学科に神経工学を研究している先生が外におられたときに声をかけて添削をお願いしました。その先生に推薦書も書いていただき、Statement of Purposeの添削もしていただきました。完全に分野が一致しているわけではありませんでしたが、快諾してくれたことに感謝しかありません。。。